ローテーター分解修理 その2

 前回、動かなくなった原因は、グリスの変質による固着とモーターに取り付けてあるギアの摩耗と書き込みましたとおり、グリス切れによってモーターに付いているギアが極度に摩耗してしまったようです。
モーターに付いているギアはアルミ鋳造のような平ギアで、なんでここだけこんな材質のギアなのか???です。
このギアを交換しないとNGなのですが、この部品は既にありませんし入手不可能。
代用のギアを探してみましたが、まだ見つかりません。
たぶんギアの適合品はあるとは思いますが、モーター取り付け部分が特殊で加工が必要なピニオンギアなので難しいかもしれないです。
ちなみにこの平ギア(ピニオン)は、歯数12、軸径5mm、ボス長6mm位の物で詳細は不明。
摩耗したギアを良く見ると、まだギアの根元の歯がしっかりと残っています。

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ギア自体を少し前方に取り付ければなんとかなりそうなので、モーター軸に1.5mmの平ワッシャーを入れてギアを前方に出して対処してみました。

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なんとかなるもので、しっかりギア同士が噛みあいました。これで動きそうです。

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シャシもきれいになりギアにグリスを塗付しながら組み立てました。

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モーターに通電にすると、力強くしっかりと動きだしました。動作音も静か!
なんとか修理出来そうです。完成すればいざという時の予備としては申し分ない状態になるはずです。                        

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今回使用したグリスは、ウレアベースの極圧有機モリブデングリスで、使用温度範囲はー20~+200までのものでベアリング、ギアに使用できるものです。
グリス自体に粘度があり飛び散ることもなさそうなので、少々多めに塗布しておくことにしました。
このグリスは、固着しないとは思いますが、何年位もつのやら???です。

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ベアリングも全て洗油で洗浄しました。一つも錆びていませんし変形もなかったので、このまま再使用です。

 1200FXに使用されているモーターは、日本電産サーボ株式会社(Servo)DME60というブラシ付きDC24V13Wです。
まだ、売っているようですが、入手困難になることもあるかもしれませんので、今度秋葉原に行った時にでも値段を確かめてこようかと思います。
田中電気商会あたりが、扱っていそうです。

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 ケースに格納する前に、前回の整備と同様に2液型アクリルウレタン塗料で塗装しました。
組み立ては、ベアリングスペースにあらかじめ極圧有機モリブデングリスを塗布しておいて、上下各49個のベアリングを配置しておきます。
個の状態で、ヘッドカバーを取り付けます、丁度中間点になるように、静かに真上から被せます。
ヘッドカバーがギアとしっかり合ったら、下側のリングカバーをゆっくり持ち上げてヘッドカバーに合わせます。しっかり合ったところでローテーターを一気に裏返して6本のネジを締めつければ完成です。

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 今回も、2液型アクリルウレタン塗料での塗装は良い艶がでました。7Pコネクターも新しいものに交換しました。

 無事に分解修理完了です。少々手間はかかりましたが立派な予備ローテーターになりました。1200FXの分解整備の手順やコツを修得しちゃいました。

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 1200FXの取扱説明書に電気的故障か機械的故障かを判断する説明があります。
今回動かなくなってしまった時に、この説明書に記載してある回転部の故障判断をしたのですが、全て正常範囲内の抵抗値でした。
1-2ピン間はモーター抵抗値です。モーターが焼けてたり、ブラシ付きのDCモーターなのでブラシが摩耗して通電されていない状況であれば、正常値110Ωは現れません。
4-6ピン間は回転部位置(プリセレクト)の角度用のVRですからこのVRが壊れていたら、正常値の600Ωは現れません。
この点検が正常値であるということは、ローテーターまでの6芯ケーブルにも異常がないことが解ります。
コントローラーの電圧も正常でしたから、機械的故障である事が判断できました。
しかしながら、ローテーター本体を分解するまで何が原因なのか解らなかったのですが、まさかグリス変質によるギア固着とモーターギアの摩耗だったとは、正直想像もつきませんでした。
今回の分解修理で、改めて機械もののメンテナンスの大切さを知ることが出来ましたが、ローテーターのメンテナンスは出来れば10年に1度程度は実行するのが無難ではないかと思いました。
貴局のローテーターは大丈夫ですか?